在留期間更新で不許可になった中国人留学生が相談に来ました。

在留期間更新で不許可になった中国人留学生が相談に来ました。
在留カードに穴を開けられ、パスポートに在留資格「特定活動」のシールを張られ、帰国準備ための30日間の在留期間を与えられていました。

異例の申請でしたが、7月7日(金)に留学への在留資格変更許可の申請をし、1週間後の7月14日(金)に許可され新在留カードが発行されました。

通常ありえない許可でしたのでスタッフ一同大変喜びました。これで一人の留学生を救えた!!いつも怖い存在の入管にも温かい配慮があるのだと感謝です。

【許可までの経緯】
申請人は、某国立大学4年の中国人留学生、日本語能力がもう一つで、中国語もつまりながら話しをする気の弱そうな26才の女の子という感じ。同級生はみな卒業してしまい、友人も少ない様子で、コロナ禍で帰国もできず気分が落ち込んでいたようでした。

6月19日(月)にインターネットで弊社のホームページを見ての電話相談
6月22日(木)来社にて相談
 
ヒヤリングしてみると
① 素行不良
② 日本での生活に経済的に問題
③ 法定外のアルバイト
など通常不許可の理由となりそうな事項に問題はありませんでした。

不許可の理由はと聞いてみると
① 卒業見込みが延期になったこと
② 留年の為入学から6年経過していること
③ 担当教官の申請理由書には、卒業の見込みは本人の努力次第であることが書かれていました。

本来どの行政庁の決定にも不服申し立てをする権利がありますが、入管には難民認定以外の不服申し立てができないことが行政不服審査法に定められており、対抗するためには国を訴える行政訴訟しかありません。
従って不許可の決定には、よほどのことがないと訴訟をしても勝てる見込みはありません。

通常不許可の場合には、入管に行って行政相談を受け再申請できるかの可能性を教えてもらいます。

その相談もしないで再申請をするのですから、不許可の理由を解決できる明確な見通しがないと、再申請しても許可は見込めません。

① 6カ月伸びるが、卒業見込み証明書が入手できそうである。
② 留年の原因及びその経緯の詳細を納得のいけるよう説明ができる。
③ 担当教授にその理由及び卒業見込みがあることの説明書を書いてもらえる。

以上の条件が整いそうでしたので、再申請の依頼を受けることを検討致しました。

担当教授が書いてくれた説明書に、卒業延期となった事情と半年遅れの卒業見込みがあることがしっかりと書かれていましたので、再申請をすることに決めました。

相談に来られてから2週間は経過してしまいましたが、弊社でも申請理由書を書いて
7月7日に特定活動から在留資格変更の申請を致しました。

通常は在留期限が過ぎても審査が終わるまで最長2カ月間の特例の在留期間が認められますが、帰国準備のための特定活動(30日)でしたので、特例期間は適用されません。

7月7日申請当日、受付してくれた担当官に呼び出され、不許可になった理由はご存じですかと尋ねられました。留年と聞いていますと回答すると、お待ちくださいと言って待たされましたが受付をしてくれました。

再度呼び出しをされ、受付票をくれましたが、「審査は厳しいですよ」と言われました。
「在留期限が7月19日ですが、2カ月の特例期間はありますか」と尋ねると「帰国準備の30日ですので特例期間はありません、在留期限までに審査の回答を致します。」と硬い表情で言われました。

在留期限まで2週間もありません、これはだめかもしれないと自信を失ってしまいました。

本来は一旦帰国しなければならないところ、無茶な在留資格変更許可申請をしたのだから仕方がないかと思いながらひとまず受付してくれたのだから良しとしようと入管を後にしました。

不許可になったらアパートの解約、帰国荷物の準備、航空チケットの予約、大学への休学届
など本人の気持ちを考えたら、何と言ってあげようかと迷いましたが、厳しい現実をそのまま伝えることにしました。

7月13日、申請をしてから明日で1週間、とにかく電話してみよう、もしだめなら帰国しなければなりません。

「審査状況を教えてください」と電話すると「審査中です、間もなく結果が出ます」との回答です。通常はそれ以上の回答はしてくれません。

「明日14日(金)に審査通知ハガキが届かないと、明後日から3連休でしかも最近の郵便事情が悪く、ハガキが在留期限に間に合わないことがあります。そのときはどうしたらよいのでしょうか?」と尋ねると、「ちょっとお待ちください、相談します。」
しばらくして「ハガキはなくても明日直接取りに来てください」「エッ、新しい在留カードを頂けるのですか」「手数料納付書、パスポート、受付票をもって来てください」

通常あり得ない回答を得て驚きました。

まだ一抹の不安もあり申請者には告げないまま、翌日の金曜日午前中すごく混雑していましたが入管に行きお昼までには新在留カードを受け取ることができました。

これまで、たくさんの難しい在留申請をしてきましたが、電話で結果も教えてくれたり、しかも在留期限に間に合わせるために超特急で審査してくれたこと。
帰国準備の30日とは住民登録も抹消されている状況で、在留資格変更を申請するなど論外の申請を通してくれた入管に感謝です。

とかく世間の反応は厳しい入管行政ですが、審査をするのは血の通った職員さん達です。 他の役所にはない忙しさ、言葉の通じない外国人対応に、配属当初は優しい顔をした良い育ちの若い人がいつの間にか余裕のない怖い顔に変わっていきます。

血の通った判断のできる、精神的に余裕の持てる職場になるような入管法に変わっていくことを期待します。

2023年07月14日