宗教法人

宗教法人を設立したい

宗教法人とは

宗教法人は、教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とする団体、つまり「宗教団体」が都道府県知事若しくは文部科学大臣の認証を経て法人格を取得したものです。(=宗教活動を主たる目的とする宗教団体が法人となったもの)

宗教法人には神社・寺院・教会などのように礼拝の施設を備えている「単位宗教法人」と、宗派・教派・教団のように神社・寺院・教会などを傘下に持つ「包括宗教法人」があります。単位宗教法人のうち包括宗教法人の傘下にある宗教法人を「被包括宗教法人」、傘下にないものを「単立宗教法人」といいます。

 

宗教法人設立の手続き

設立発起人会の議決

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公告、包括宗教団体からの承認(包括宗教団体がある場合)

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規則認証

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所轄庁にて審査、認証

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認証書、認証した規則などの謄本の交付

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設立登記

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登記の届出

 

宗教法人設立のために

宗教法人と宗教法人法

宗教法人になるためには「教義をひろめる」、「儀式行事を行う」、「信者を教化育成する」、「礼拝の設備を備える」といった要件を備えた、現に活動している宗教団体が存在していることが必要です。

その宗教法人は、全て宗教法人法に基づいて法人となっています。
「宗教団体が、礼拝の施設その他の財産を所有し、これを維持運用し、そのほかその目的の達成のための業務及び事業を運営することに資するため、宗教団体の法人格を与えることを目的」として作られたのが宗教法人法であり、以下の特徴を持ちます。
 1.認証制度
 2.責任役員制度
 3.公告制度

 

宗教法人の運営

認証制度

宗教法人の設立・規則の変更・合併・解散などに関しては、所轄庁の認証がその都度必要になります。

 

宗教法人の運営は規則に決められた通りにしなければなりません。
規則は法人の運営方法について、手続きを経て作成し所轄庁の認証を受けた、宗教法人を運営するための根本原則です。
ですので、規則と運営実績は一致していなければなりません。もし一致しない場合は、2段階の変更手続きが必要です。第一に「法人内部の手続き」があります。その変更手続きが完了したら、第二に「所轄庁に対し、認証のための申請手続き」をとります。

必要書類様式については、文化庁HP「所轄庁への届け出に必要な様式」を参照。
宗教法人の代表役員の変更・市町村合併等による事務所所在地の変更・更正登記による変更についての様式は、静岡県公式HP「登記事項変更の届出」を参照。

 

役員は最低何人必要ですか?

責任役員制度

宗教法人には、必ず3人以上の責任役員をおかなくてはなりません。
「代表役員」、「責任役員」、「代務者」です。
もしかけている場合は、新たに選任する必要があります。

このうち代表役員に関しては、氏名・住所を登記して公示しなければなりません。もし変更になった場合は変更の登記と、所轄庁への届出が必要になります。

宗教法人は、代表役員や責任役員、法人の管理運営に直接関わる役員について役員名簿を作成し、毎年所轄庁へ提出しなくてはなりません。

 

公告とは

公告制度

宗教法人運営の為には、法人の状況を把握するための書類や帳簿を、常に法人の事務所に備え付けておく必要があり、備え付けを怠ると、過料に処せられることがあります。

備え付け書類等は、信者やその他の利害関係人の閲覧請求権の対象になりますので、不当目的でない限り、閲覧させなければなりません。

※書類には、規則・認証書・役員名簿・財産目録・収支計算書・貸借対照表・境内建物に関する書類・席に役員会等の議事録・事務処理名簿・事業に関する書類・その他書類・帳簿などがあります。           これらの書類の一部の写しは、毎年所轄庁に提出することとなっています。

 

※注意事項                                             規則を紛失した場合には、直ちに所轄庁に相談し、規則の謄本の交付を受けなければなりません。      書類のルーズな管理により第三者に悪用される事件も起きています。管理には気をつけましょう。

 

事務はどうするの?

宗教法人の事務

宗教活動を行うためには、礼拝施設の維持管理、必要経費の支出、献金の収納・管理、第三者との取引などの業務が生じ、これらの業務を「事務」と呼びます。
「事務」の決定は、代表役員が独断で行うのではなく、規則で定められた手続きをとります。
そして、代表役員が法人を代表して忠実に執行します。

宗教法人は、宗教法人の代表や財産状況、不動産売買等権利の変動についての現状を第三者に対して明らかにする必要があります。
そのため、登記簿に記載して公示し、一般に公開しなければなりません。
「法人登記」、「不動産登記」について変更が生じた場合は、遅滞なく登記事項証明書を添えた変更の登記を所轄庁に届出なければなりません。
「法人登記」には法人の目的・名称・所在地・基本財産の総額・代表者について・財産処分に関する事項・解散の事由・公告の方法などを登記しなければなりません。

※登記事項に変更が生じた場合「所轄庁への届出に必要な様式」

宗教法人が次の様な行為を行った場合、信者やその他の利害関係人に公告します。
不動産・宝物の処分、担保の供与、借入または保証、主要な境内建物の新築等、境内地の著しい模様替え、主要な境内建物または境内地の用途変更等

宗教法人は、むやみな不動産処分や投機的な資金の運用を行い、宗教法人の財産を減少させないなど、財産保全の努力が必要です。
また法人財産は役員個人のものではないので、信者との関係を損なわないために、財産の管理者は会計報告を行いましょう。
その際、宗教法人の財産と代表役員個人の財産の区別、法人の会計帳簿と個人の家計簿の区別が必要です。

宗教活動以外に公益事業や収益事業を行った場合、規則に記載し、区分経理を行います。
事業を行ったその収益は、必ず当該宗教法人、それを包括する宗教団体、援助する宗教法人・公益事業の為に使用します。宗教法人の事業は宗教法人が主体的に行う、それにふさわしい内容のものであり、適正な規模でならなくてはなりません。
もし収益事業が公益事業以外の事業に該当する疑いがある場合、所轄庁から報告や質問を求められることがあります。

※安易な事業への取組はやめましょう。

例えば、宗教法人の墓地経営を許可する場合、実質的な経営の実験は営利企業が持つような、いわゆる「名義貸し」の防止に留意します。

所轄庁ってどこ?

事務処理に関する問題が起きたら

実際の問題処理については所轄庁に相談すると良いでしょう。
なお、他の都道府県内に境内建物を備え付けた場合、都道府県知事を通じて文部科学大臣に届け出ることが必要で、他の都道府県に境内建物を備えなくなった場合には、所轄庁が主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事に変更になりますので、その旨も文部科学大臣に届け出ることが必要となります。

 

宗教法人制度の適正な運用と宗教法人の適正な管理運営を確保する為に文化庁が行っている事業

事業 内容
宗教法人法施工に関すること 宗教法人の設立,規則の変更,合併,解散の認証など
宗教法人の管理運営の指導 都道府県における宗務行政事務,担当者の研修会,包括宗教法人のための研究会等の  実施,指導書の作成など
宗教関係資料の収集・提供 宗教年鑑,宗務時報など,宗教に関する統計資料の収集,作成,提供。宗教事情の調査 など。
宗教法人審議会 宗教法人に対する不利益処分の審査その他の認証等について調査審議する機関

<文化庁HPより>

 

法人税はかからない!?

宗教法人と税

宗教法人は宗教活動のみを行っていれば、税金と無関係というのは誤った考えです。
宗教法人の役職員も自身の給与所得について、収入に見合った所得税等を納付します。

宗教法人は役職員への給与・報酬・退職金や講演料等について、源泉徴収で所得税を預かり納付する義務があります。
また、34種類の指定された収益事業を営む宗教法人には、法人税等がかかります。


毎年行う所轄庁への報告、書類の提出

書類の提出について

宗教法人は毎会計年度終了後4月以内に、事務所備え付け書類の一部を、表紙をつけて所轄庁に提出しなければなりません。(表紙の参考として様式例様式あり…文化庁HP)
書類の内容が変わっていなくても、毎年度提出の必要があります。
その際、提出する書類としない書類を明示する必要があり、提出する書類は写しでなくてはなりません。
なぜなら、書類そのものを提出すると、法人が備え付けるべき正式書類がなくなり、備え付け義務違反となるからです。
提出先は原則として、主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事ですので、法人が所在する所轄庁の宗教法人事務主管部課宛に提出します。
文部科学大臣所轄法人の提出先は文化庁です。
提出を怠ると10万円以下の過料に処せられます。

提出しなければならない書類は以下のものです。

1. 役員名簿

(全法人提出。法人の管理運営に直接関わる役員についても作成する。)                 ※記入にあたっての注意事項が決められていますので、注意に添って作成すること             参考として様式例様式あり(様式例の中に注意事項が載っています)…文化庁HP

2. 財産目録

(全法人提出。法人所有の全ての財産、全ての負債について記載し、毎会計年度終了後3月以内に作成する。)
参考として様式例様式あり…文化庁HP

3. 収支計算書

(作成義務を免除され、実際に作成していない場合を除く。)
※作成義務を免除…公益事業以外の事業を行っておらず、1年間の収入額が8,000万円以下の宗教法人
収支予算書を作成し予算と決算を対比すること・会計処理は特別会計と一般会計を分けることが必要であり、収支計算書は、収入合計と支出合計が一致しなければなりません。
収入の部・支出の部ともに参考として様式例様式あり…文化庁HP
  例)

  • <現金による収入>   収入→領収書の発行→入金伝票に記入→収入予算管理簿/現金出納帳に記帳
  • <現金による支出>   支出→領収書の発行→出勤伝票に記載→支出予算管理簿/現金出納簿に記帳
  • <自動振替による支出> 支出→預金通帳で自動引き落としの確認→領収書の受領→出金伝票に記入              →支出予算管理簿/現金出納簿に記帳

4. 貸借対照表(作成している場合に限る。)

 

5. 境内建物に関する書類

(財産目録に記載されていない境内建物がある場合のみ必要で、このような境内建物がない法人は、この書類の作成・備え付けの必要がない。)
※財産目録に記載されていない…境内建物を賃貸契約あるいは使用貸借契約で借りている場合
参考として様式例様式あり…文化庁HP


6. 事業に関する書類

(宗教法人第6条に規定する事業を行う場合に限る。)
宗教活動のほか、公益事業や公益事業以外の事業を行う場合、その事業の収支・内容・実績に関する書類を、各事業の種類ごとに作成し、事務所に備えなければなりません。
参考として様式あり…文化庁HP

※様式例を使って提出することもできますが、法人独自の様式で作成することも可能です。