旅行業

旅行業を営む為には、「報酬を得て一定の行為(注1)を行う事業を営もうとする者は、観光庁長官又は都道府県知事による旅行業又は旅行業者代理業(以下「旅行業者等」といいます。)の登録を受けなければならない」とされています。 (旅行業法第2条及び第3条) 注1:旅行業法第2条第1項第1号から第9号に掲げる行為 …観光庁より

 

旅行業の登録

旅行業者等は、「第1種旅行業者」「第2種旅行業者」「第3種旅行業者」「地域限定旅行業者」「旅行業者代理業者」に分類されます。

それぞれにおいて、扱える業務の範囲が違ってきます。 

また登録を行う行政庁も違い、「第1種旅行業者」は「観光庁長官」、その他は、主たる営業所の所在地を管轄する「都道府県知事」となっています。


旅行業の登録要件として、決められた「基準資産額」を満たすことが必要です。

これは、事業を遂行するための財産的な基礎を有しているかを行政庁が確認する為です。


旅行業務の
区分
登録行政庁 募集型
企画旅行
海外
募集型
企画旅行
国内
受注型
企画旅行
手配旅行 基準
資産
第1種
旅行業者
観光庁長官 3000万
第2種
旅行業者
主たる営業所の所在地を
管轄する都道府県知事
700万
第3種
旅行業者
主たる営業所の所在地を
管轄する都道府県知事

隣接市町村等
300万
地域限定
旅行業者
主たる営業所の所在地を
管轄する都道府県知事

隣接市町村等

隣接市町村等
100万
旅行業者代理業 主たる営業所の所在地を
管轄する都道府県知事
旅行業社から
委託された
業務
旅行業社から
委託された
業務
旅行業社から
委託された
業務
旅行業社
から委託
された業務

募集型企画旅行とは?

 例えばパッケージツアーのように、旅行業者が予め旅行計画を作成し、旅行者を募集するもの

受注型企画旅行とは?

 例えば修学旅行のように、旅行業者が 旅行者からの依頼により旅行計画を作成するもの

手配旅行とは?

 旅行業者が 旅行者からの依頼により宿泊施設や乗車券等のサービスを手配するもの



営業保証金

旅行業者は 供託所に「営業保証金」を供託するか、旅行業協会に「弁済業務保証金分担金」を納付しなければならず、かつ その旨を登録行政庁に届け出なければなりません。

国に供託する「営業保証金」については、登録業種、年間の取り扱い額によって金額が異なります。

(供託…法令の規定により、金銭・有価証券・物品を供託所や一定の者に差し出し、保管してもらうこと。 )

これは、旅行者が損害を受けた時のために、旅行業者があらかじめ国に預けるお金です。

旅行業者と旅行者との間に生じた債権について、旅行者に弁済を行うための制度です。

「営業保証金」に代わり、旅行業協会に入会し「営業保証金」の5分の一相当額の「弁済保証

金分担金」を納付することによって、「営業保証金」の供託が免除されます。

観光庁長官に指定されている旅行業協会として、(一社)日本旅行業協会 =JATA(一社)全国旅行業協会 =ANTA があります。

旅行業務の区分 営業保証金
※年間取引額が2億円未満の場合
弁済保証金分担金
※年間取引額が2億円未満の場合
第1種旅行業者 7000万 1400万
第2種旅行業者 1100万 220万
第3種旅行業者 300万 60万
地域限定旅行業者 15万 3万
旅行業者代理業者 不要 不要



旅行業務取扱管理者

「旅行業務取扱管理者」をおくことが義務付けられています。

旅行業法においては、旅行業者等には、営業所ごとに、一人以上の「旅行業務取扱管理者」を選任し、取引条件の明確性、旅行に関するサービスの提供の確実性その他取引の公正、旅行の安全及び旅行者の利便の増進を確保するために必要な事項の管理・監督に関する事務を行わせることが義務付けられています(旅行業法第11条の2)。

「旅行業務取扱管理者」は、旅行に関する計画の作成、苦情の処理などに関する事項、旅行業務の取扱い料金の掲示に関する事項などについての事務を管理・監督します。

「旅行業務取扱管理者」には「総合旅行業務取扱管理者」と「国内旅行業務取扱管理」の2種類があります。

選任できる「旅行業務取扱管理者」は、旅行業者等の営業所の扱う業務の範囲により、下記の通り、必要な資格が異なっています。

取り扱う業務の範囲 必要な資格
海外旅行を取り扱う営業所 総合旅行業務取扱管理者試験に合格した者
国内の旅行だけを取り扱う営業所 総合旅行業務取扱管理者試験又は国内旅行業務取扱
管理者試験に合格した者
国内の旅行のうち営業所の所在する
市町村及び隣接市町村の範囲内に
限られる旅行だけを取り扱う営業所
総合旅行業務取扱管理者試験、国内旅行業務取扱
管理者試験又は地域限定旅行業務取扱管理者試験に
合格した者

旅行業務取扱管理者試験は、各協会がそれぞれ実施しています。
「総合旅行業務取扱管理者試験」 → (一社)日本旅行業協会
「国内旅行業務取扱管理者試験」 → (一社)全国旅行業協会



「旅行業者」と「旅行業者代理業」の違い

「旅行業者」・「旅行業者代理業」ともに、旅行業法により 行政機関への登録が必要な業種です。
「旅行業者」が企画したパッケージツアーなどの販売等を、代理人として行うのが「旅行業者代理業」ということになります。
旅行業者代理業者は、旅行業者との間に代理店契約を結びます。
「第1種旅行業者」「第2種旅行業者」「第3種旅行業者」「地域限定旅行業者」に分類されているその旅行業者の業務範囲内 全ての業務を行うことができ、仲介手数料が収入となります。