登録支援機関について

■□特定技能「登録支援機関」について□■

 改正入管法により、在留資格「特定技能1号」「特定技能2号」が新設されたことに伴って、外国人就労者を支援する「登録支援機関」が、全国で非常に増加しています。これから登録支援機関として登録することに関心のある企業もあるでしょう。
 その一方で、「実は登録支援機関の役割がよく分からない」、「登録支援機関になったけど、実務で何をすればいいのか分からない」という疑問もあるのではないでしょうか。
 このページでは、登録支援機関の基本的な役割、登録支援機関が行うべき実務について、ご紹介します。


◆登録支援機関の役割◆

 登録支援機関は、「特定技能外国人支援計画」に基づいて、特定技能外国人を支援する必要があります。
 そこで登録支援機関に求められる役割は、以下の通りです。

①事前ガイダンス

②出入国する際の送迎

③住居確保・生活に必要な契約支援

④生活オリエンテーション

⑤公的手続き等への同行

⑥日本語学習の機会の提供

⑦相談・苦情への対応

⑧日本人との交流促進

⑨転職支援(人員整理等の場合)

⑩定期的な面談・行政機関への通報

 

◆登録支援機関の役割遂行上の注意◆ 

上記に登録支援機関として必要な10の役割を掲げましたが、特定技能所属機関から業務を委託されたら、その役割をどのように果たせばよいでしょうか。役割遂行上の注意点があります。

 ①先に掲げた特定技能外国人支援計画の全てを実施できること。

  ⇒一部のみを行うことは認められません。

 ②特定技能所属機関から委託を受けた支援業務を自ら行うこと

  ⇒再委託は認められません。(※通訳人等の履行補助者を活用することはOKです。)

 

◆登録支援機関の登録拒否事由◆

 登録支援機関として登録することは、特定技能外国人を支援する上で重要なことですが、それがゴールではありません。登録拒否事由にあたれば、登録を拒否されたり、取消されたりすることがあります。つまり、登録支援機関として活動できなくなってしまうのです。ここで、登録拒否事由も確認しておきましょう。

 ①関係法律による刑罰を受けたこと

  ⇒禁錮以上の刑の処せられた

  ⇒出入国又は労働に関する法律に違反し、罰金刑に処せられた

  ⇒暴力団関係法令、刑法等に違反し、罰金刑に処せられた

  ⇒社会保険確報及び労働保険各法において事業主としての義務に違反し、罰金刑に処せられた

 ②登録を取り消されたこと

  ⇒当該取消日から5年を経過していない者

 ③出入国又は労働関係法令に関し不正行為を行ったこと

  ⇒登録の申請の日前5年以内に、出入国又は労働関係法令に関する不正又は著しく不当な行為を行った者

 ④暴力団排除からの観点

  ⇒暴力団員等及びその役員が暴力団員等

  ⇒暴力団員等がその事業活動を支配する者

 ⑤申請者等の行為能力・役員等の適格性の観点

  ⇒精神機能の障害により支援業務を適正に行うに当たっての必要な認知等を適切に行うことができない者

  ⇒破産手続き開始の決定を受けて復権を得ない者

  ⇒法人の役員、未成年の法定代理人で登録拒否事由に該当する者

 ⑥行方不明者の発生

  ⇒自らの責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させている場合

 ⑦支援責任者及び支援担当者が選任されていないこと

  ⇒役員又は職員の中から支援責任者及び支援業務を行う事務所ごとに1名以上の支援担当者選任要

 ⑧中長期在留者の適正な受入れ実績がないこと(以下のいずれかに該当する必要がある)

  ⇒ⅰ過去2年間に中長期在留者の受入れ又は管理を適正に行った実績がある

  ⇒ⅱ過去2年間に報酬を得る目的で業として本邦に在留する外国人に関する各種の相談業務に従事した経験   を有する者

  ⇒ⅲ選任された支援責任者及び支援担当者が、過去5年間に2年以上中長期在留者の生活相談業務に従事した   一定の経験を有する者

  ⇒ⅰないしⅲに該当する者と同程度に支援業務を適正に実施することが出来る者として出入国在留管理庁長   官が認めるもの

 ⑨情報提供・相談等の適切な対応体制がないこと(以下が必要)

  ⇒特定技能外国人が十分に理解できる言語による適切な情報提供体制

  ⇒支援責任者又は支援担当者が特定技能外国人及びその監督をする立場にある者との定期的面談体制

 ⑩支援実施業務に係る文書の作成等をしないこと

  ⇒1号特定技能外国人支援計画の実施状況に関する文書を作成し、当該特定技能外国人の特定技能雇用契約   終了日から1年以上備えておく必要あり

◆ここまでのまとめ◆

 登録支援機関として活動するには、以下のことが必要です。

1.特定技能外国人支援計画に基づく10の支援活動を行う(一部のみの支援不可、再委託不可)

2.各種法令遵守

3.行方不明者発生なし

4.支援責任者、支援担当者選任あり

5.受入実績、情報提供・相談体制あり

6.支援実施状況の文書の作成・保管

 

◆登録支援機関としての届出◆

登録支援機関には、以下のような各種届出が求められています。届出を怠ると登録を取り消される場合もありますので、十分留意する必要があります。

 ①変更の届出

 ②休廃止の届出

 ③支援の実施状況に関する届出

 続いて、これらの届出について、それぞれご紹介します。

 

◆①変更届(登録事項変更に関する届出書)◆

 登録支援機関は、登録した申請書の記載事項に掲げる事項に変更があったときは、登録事項変更に関する届出書(入管法施行規則別記第29号の16様式)を登録支援機関の住所を管轄する地方出入国在留管理局に提出しなければなりません。

 変更の日から14日以内に届出を行う必要があります。

※変更届出後、登録拒否事由に該当することが確認されると、是正指導が行われたり、登録が取消されたりすることもあります。

変更事項 添付書類 特記事項
氏名又は名称 <共通>登録支援機関概要書(参考様式第2-2号)
<法人>登記事項証明書
<個人>住民票写し、変更後の屋号を明らかにする書類
・支援を行う事務所の名称についても同時に変更となる場合には、届出書の変更事項欄及び登録支援機関概要書(参考様式第2-2号)に記載。
・該当する変更部分のみ記載
住所 <共通>登録支援機関概要書(参考様式第2-2号)
<法人>登記事項証明書
<個人>住民票写し
・郵便番号又は電話番号のみの変更時は変更事項を「住所」として届出(添付書類不要)
・支援業務を行う事務所の住所地についても同時に変更となる場合には、届出書の変更事項欄及び登録支援機関概要書(参考様式第2-2号)に記載
・該当する変更部分のみ記載
代表者氏名 登録支援機関概要書(参考様式第2-2号)
登記事項証明書
住民票写し
・該当する変更部分のみ記載
支援業務を行う事務所の所在地 登録支援機関概要書(参考様式第2-2号) ・支援を行う事務所の名称を変更する場合には、変更事項を「支援業務を行う事務所の所在地」として届出が必要
・登録支援機関の住所についても同時に変更となる場合には、届出書の変更事項欄及び登録支援機関概要書(参考様式第2-2号)に記載
・登録支援機関の名称についても同時に変更となる場合には、届出書の変更事項欄及び登録支援機関概要書(参考様式第2-2号)に記載
・該当する変更部分のみ記載
支援業務の内容及び実施方法 登録支援機関概要書(参考様式第2-2号) ・該当する変更部分のみ記載
支援業務を開始する予定年月日   ・登録申請時に申請書に記載した予定年月日に支援業務を開始しない場合に届出が必要
特定技能外国人からの相談に応じる体制の概要 登録支援機関概要書(参考様式第2-2号) ・対応可能言語を追加又は削除した場合に届出が必要
・該当する変更部分のみ記載

 

◆②休廃止の届出等◆

 登録支援機関は、支援業務を休廃止したときは、支援業務の休止又は廃止に係る届出書(参考様式第4-1号)を登録支援機関の住所を管轄する地方出入国在留管理局に提出しなければなりません。

 休廃止日から14日以内に届出を行う必要があります。

 特定技能所属機関から委託を受けて支援中であるときは、1号特定技能外国人に対する支援への影響がないよう特定技能所属機関と事前に相談の上、対応します。

※支援業務を廃止した旨の届出があったときは、登録の効力は失われます。

事由 必要書類 留意事項
支援業務の休止又は廃止 支援業務の休止又は廃止に係る届出書(参考様式第4-1号) ・廃止したときは登録支援機関登録通知書を地方出入国在留管理局に返納。
・休止したときは、通知書の返納は不要だが、亡失・滅失のないよう保管
支援業務の再開 支援業務の再開に係る届出書(参考様式第4-2号) ・再開予定日の1か月前までに、支援業務の再開に係る届出書(参考様式第4-2号)により、地方出入国在留管理局に届出

 

◆③支援の実施状況に関する届出◆ 

 登録支援機関は、支援委託契約の相手方(特定技能所属機関)の住所を管轄する地方出入国在留管理局に、支援実施状況等を記載した書類を提出しなければなりません。

 四半期ごとに翌四半期の初日から14日以内に届出を行う必要があります。

 ⅰ第1四半期: 1月1日~ 3月31日まで  (届出期限:  4月14日)

 ⅱ第2四半期: 4月1日~ 6月30日まで  (届出期限:  7月14日)

 ⅲ第3四半期: 7月1日~ 9月30日まで  (届出期限: 10月14日)

 ⅳ第4四半期: 10月1日~ 12月31日まで  (届出期限: 翌1月14日)

届出事項 提出書類 留意事項
特定技能外国人の
・氏名
・生年月日
・性別
・国籍・地域
・住居地
・在留カード番号
支援実施状況に係る届出書(参考様式4-3号) ・支援対象の外国人が「特定技能」の在留資格を有した後に行った支援について届出
・定期的面談や1号特定技能外国人からの相談を端緒として、労働基準監督署への通報や公共職業安定所への相談を行った場合は、相談内容及び対応結果を届出
・非自発的離職者に対する転職支援を実施した場合は、公共職業安定所の利用状況等の転職支援の内容及び対応結果を届出
・定期的な面談を実施した場合は、面談の実施状況を記載した定期面談報告書(参考様式第5-5号、第5-6号)を添付し、面談の内容及び対応結果を届出。当該面談において、特定技能所属機関における不正行為を把握した場合、労働基準監督署やその他関係機関に通報を行った上で、特定技能所属機関の責任者に対し、当該不正行為が生じている事実を通知するとともに、出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為に係る届出書(参考様式3-5号)を地方出入国在留管理局に速やかに届け出るよう連絡
・その他の適格性に関することは、登録支援機関が行政機関から指導があった場合等に理由書(任意書式)や疎明資料を添付
特定技能所属機関の
・氏名又は名称
・所在地
同上 同上
特定技能外国人から受けた相談の内容及び対応状況 同上 同上
出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為の発生、特定技能外国人の行方不明者の発生その他の問題の発生状況 同上 同上

 

◆帳簿の具備◆

 1号特定技能外国人支援計画の実施状況に関する文書を作成し、支援の対象である1号特定技能外国人に係る特定技能雇用契約終了日から1年以上備えて置くことが求められています。

 支援状況に関して報告又は資料の提出を求められた場合に、応じることができるよう帳簿は適正に作成し、保存しておく必要があります。

 報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をした場合は、登録の取消対象となります。

 

◆帳簿の記載事項◆

 帳簿には、少なくとも次の事項の記載が必要です。

①支援実施体制に関する管理簿

・登録支援機関の氏名又は名称,住所,代表者氏名,法人番号,役員の氏名,役職及び住所

・支援を行う事業所の名称,住所及び連絡先

・職員数(常勤・非常勤職員数の内訳)

・支援実績(毎月における支援人数,行方不明者数)

・支援責任者の身分事項,住所,役職及び経歴(履歴書,就任承諾書)

・支援担当者の身分事項,住所,役職及び経歴(履歴書,就任承諾書)

・対応可能な言語及び同言語による相談担当者に関する事項(委託契約書,通訳人名簿)

② 支援の委託契約に関する管理簿

・受託した支援業務に関する事項(支援委託契約書(参考様式第5-10号))

・支援経費の収支に関する事項(支援委託費を含む。)

③ 支援対象者に関する管理簿

・1号特定技能外国人の氏名,生年月日,国籍・地域,性別及び在留カード番号

・当該外国人を雇用する特定技能所属機関の氏名又は名称

・1号特定技能外国人支援計画の内容(支援計画書)

・支援の開始日 ・支援の終了日(支援を終了した理由を含む。)

④ 支援の実施に関する管理簿

ⅰ 事前ガイダンスに関する事項

・1号特定技能外国人の氏名,生年月日,国籍・地域,性別及び在留カード番号

・実施日時及び実施場所

・実施内容(情報提供内容)

・実施方法

・実施担当者(通訳人含む。)の氏名及び役職 *事前ガイダンスの確認書(参考様式第5-9号)を保存

ⅱ 出入国時の送迎に関する事項

・1号特定技能外国人の氏名,生年月日,国籍・地域,性別及び在留カード番号

・出迎え日(上陸日)及び見送り日(出国日)

・実施担当者の氏名及び役職

ⅲ 住居の確保及びその他生活に必要な契約に関する事項

・1号特定技能外国人の氏名,生年月日,国籍・地域,性別及び在留カード番号

・確保した住居に関する事項(住所,住居の形態(賃貸,社宅等),家賃等)

・支援した契約に関する事項(契約内容,保証人契約内容)

・実施担当者の氏名及び役職

ⅳ 生活オリエンテーションに関する事項

・1号特定技能外国人の氏名,生年月日,国籍・地域,性別及び在留カード番号

・実施日時及び実施場所

・実施内容(情報提供内容)

・実施方法 ・実施担当者(法的保護に関する情報提供の実施者を含む。)の氏名及び役職

ⅴ 関係機関への同行等支援に関する事項

・1号特定技能外国人の氏名,生年月日,国籍・地域,性別及び在留カード番号

・実施日時及び実施場所

・実施内容

・実施方法

・実施担当者の氏名及び役職

ⅵ 日本語を学習する機会の提供に関する事項

・1号特定技能外国人の氏名,生年月日,国籍・地域,性別及び在留カード番号

・実施内容 ・実施方法

・実施担当者(委託先の講師を含む。)の氏名及び役職

ⅶ 相談・苦情対応に関する事項

・1号特定技能外国人の氏名,生年月日,国籍・地域,性別及び在留カード番号

・相談日時 ・相談内容及び対応内容(面談記録,対応記録)

・実施担当者(通訳人を含む。)の氏名及び役職

ⅷ 日本人との交流促進に関する管理簿

・1号特定技能外国人の氏名,生年月日,国籍・地域,性別及び在留カード番号

・実施日時及び実施場所

・実施方法 ・実施担当者の氏名及び役職

ⅸ 非自発的離職時における転職支援に関する事項

・1号特定技能外国人の氏名,生年月日,国籍・地域,性別及び在留カード番号

・転職相談日,実施時間及び実施場所 ・相談内容及び対応内容(面談記録,対応記録)

・転職先候補企業の名称,所在地,連絡先

・実施担当者(通訳人含む。)の氏名及び役職

ⅹ 定期的な面談の実施に関する管理簿

・1号特定技能外国人の氏名,生年月日,国籍・地域,性別及び在留カード番号

・監督者の氏名及び役職

・面談日時

・面談内容(法令違反行為を認知した場合の関係行政機関への通報等を含む。)

・支援責任者及び支援担当者の氏名及び役職

※様式は任意です。当法人では、帳簿のフォーマット提供等も承っております。