入管法改正案5月21日衆議院通過、6月14日参院本会議で賛成多数で可決成立。技能実習法が育成就労法に変わります。永住者が資格取り消しになる改正も決議されました。施行は公布から3年以内。

衆議院可決条文
・ 第24条1項に
「人材が不足している地域において必要とされる人材が確保され、もって地域経済の活性化に資するよう、育成就労外国人が地方から大都市圏に流出すること等により大都市圏その他の特定の地域に過度に集中して就労することとならないようにするために必要な措置を講ずるものとする。」とあります。


転籍が可能となることで育成就労外国人の人権が守られ失踪者が減ることにはなるのだと思いますが1,2年の転籍制限で大都市圏への流出が防げるかは疑問です。既に特定技能においては大都市圏への転籍が増えて、採用の為に費用を負担している地方企業からの悲鳴が聞こえています。

 第24条3項に
「監理支援機関が監理型育成就労実施者から独立した中立の立場で監理支援事業を行うことができる体制が十分に確保されていることを確認するために必要な措置を講ずるものとする。」とありますが、実態は依頼企業の言いなりになる監理団体が選ばれている状況です。

効果のあるどんな措置を講じるのか注目したいです。

 現 技能実習法6条に
(技能実習生の責務)
第六条 技能実習生は、技能実習に専念することにより、技能等の修得等をし、本国への技能等の移転に努めなければならない。
とあり
帰国後に日本において習得した技能等を要する業務に従事することが予定されていることが必要とされています。
法的保護研修などを担当して技能実習生に質問すると、そのような返答はあまり聞きません。
帰国後、再入国を希望し他の在留資格を申請する場面では、習得した技能等を要する業務に従事していないことを理由に在留資格認定証明書が発行されない例もあり問題視しております。

その為の解決策として、「育成就労法」ではどのように規定されるかに関心を持っていましたが
下記のように改正されましたので期待できると思います。


第六条の見出しを「(育成就労外国人の責務)」に改め、同条中「技能等の修得等をし、本国への技能等の移転」を「育成就労産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能の修得」に改める。

【期 待】
 悪質な送り出し機関、リベートを要求する監理団体が摘発されることを期待します。
 多額の借金を負って入国する技能実習生が減ると期待します。
 技能実習計画認定のための書類の多さが少しでも解決できればと期待しております。

【永住者の制限について思うこと】
第二十五条(永住者の在留資格の取消しに係る規定の適用に当たっての配慮)に
永住者の在留資格をもって在留する外国人の適正な在留を確保する観点から、同号に該当すると思料される外国人の従前の公租公課の支払状況及び現在の生活状況その他の当該外国人の置かれている状況に十分配慮するものとする。  とあります、
日本人でも税金や社会保険料を支払わないときには罰則があります、永住者であっても日本人同様であると理解しておりますが、永住資格の取消しまで規定するのは問題ありと考えます。

長く日本に在留し、厳しい永住許可の審査で許可されているのですから、多文化共生社会への道筋に逆行するものと考えます。

「現在の生活状況その他の当該外国人の置かれている状況に十分配慮するものとする」。
とありますが
取消しにならないまでも、定住者などへの在留資格変更も可能であるようですが、母国に帰るところもなくなっている人も多くいて、いつ在留期間更新できなくなるか分からない不
安な状況に置くことになり、外国人への人権無視と言っても過言ではないと思います。

2024年05月31日